文芸[5月/May]

works:井織ナス

「かえでです」「えるです」「「かえるでーす!」」
 二人は仲良く前口上を言い挨拶をしますが、すぐに立ち位置で揉めています。
「そんなに嫌なの、えるの隣!?」「負けたらどこ行く?」「ひどーい!」
 気心知れた二人ならではのやり取りをしつつ、ゲームが始まります。いくつかのマスにひらがなの文字を並べて単語を作っていきました。
 自分で作った単語は自身の持ち点になる陣取りのようなゲームです。初戦はえるが惜しくも負けてしまいました。
「えるが(配信)枠取ればよかった!」
 嘆きと共にえるはゲーム画面の裏に追いやられてしまいます。
「(シチュエーション)ボイスのでろーんちゃんやってよ」「次勝ったらな」
 立ち位置を弄られながらも善戦するえるの提案。楓は受けて立ちます。そしてフラグを回収するように楓は負けてしまいました。
 ボイス特有の優し気な楓に、えるはご満悦。ですがしばらくして気付きます。
「あ、ボイスだからえるの声が聞こえてないんだ」
 約15分に及ぶボイスがようやく終わったかと思いきや、楓はまだまだ続けます。
「今から05行くよ」「え、なんで!? やっぱいいや、でろーんちゃんと喋る!」
 今度こそ楓のボイスが終わると、次は楓がえるに無茶なボイス演技を要求します。二人は終始コントのようなやり取りをして、最後は仲良く並んで締めのご挨拶。
「かえでです」「えるです」「かえるでしたー」「かえるコラボでしたー!」

works:ミノムシ

 配信前に操作方法の確認がてら遊んでみたけど、あまりにもあっけなくゲームオーバーになってしまった。
 敵が出てくる場所だけじゃなくキノコの場所やフラワーの場所、隠しブロックの場所も完璧に覚えたのに……。それだけではクリアできないということなのか……。 
 さすがは世界に名だたる有名ゲーム。

「こんばんはー……」

 配信をスタートさせるとコメント欄に流れるいつものあいさつ。
 その中に『すぐ終わりそう』『最初の敵でダメそう』なんてコメントが見える。
 めちゃくちゃ緊張してしょうがないけど、丁寧にやっていくしかない。

 画面の中、赤い服を着たヒゲの人が走り出した。

works:おさかな

「えっ、えぇっ!? 大丈夫?? これ映して」

 式典奏者になりたい想いを利用され、騙され烏の悪魔と契約してしまったお嬢様。かわいそうに、契約の代償でお嬢様は両手両足を持っていかれてしまった。
 その上海に落とされたと思ったら、セーブが始まって。
 そして、画面が切り替わる。
 お嬢様はあんな目に合ったのに、なんと生きているようだった。なぜか悪いはずの悪魔がお嬢様を助けたみたいだ。服も新しくしてくれていたへー。なんだ、この悪魔。理由がわからんけど、いいひとやなぁ。
―――
 悪者は市長で手足を取り戻すにはその企みをめちゃくちゃにしないといけない。でもお嬢はまだ信じられないから、確かめるために市長の家に忍びこむわけやな。
 なるほど、こうやってストーリーが広がっていくんや。
 しっかしこの悪魔、お嬢を手助けしてくれるのはいいねんけど。ちょっとなぁ。髪に芋けんぴ系の男やねん、意地悪したがりのマジでデリカシーが無い奴みたいや。悪魔にデリカシーを求めるのは意味がないかもしれないけど。
 
 それはともかく殴り込みや! 真相全て吐いてもらうで、極悪市長……!!

works:ねむを

 春、新しい生活の始まり。
 将来の夢がヒモな私もお金の為、ついにここ「いひはら社」で働く決意をした。新入社員として、初日から気を引き締めていきたいと思う。
 それなのに……。
「止めんとって! 止めんとって私を!」
居眠りにお漏らしに、会議に集まらない社員達。立て付けの悪いオフィス、散らばる段ボール。ドアも通路も狭くって、プロジェクターすらまともに持って行けない。
 やっぱり壁で仕切られているより、隙間があれば連携も取りやすい。人だろうと物だろうと邪魔なもの全部吹っ飛ばせば、オッケーオッケー。
 随分風通しの良い働きやすい職場になったわ、うん。
 フォークリフトの運転もかなり大変で、イラつくほどに難しかった。それでもフォークonフォークを成し遂げられたのは、同期のおかげだ。仕事がこんなに大変なんて今まで知らんかったけど。
 親身に修繕費を割り勘してくれる同期がいれば、頑張れる気がするわ。
#同期最高
#同期は裏切らない
#転職しても友達でいようね